屋根裏(隔離生活)通信

ロックダウンの解除間もない、寝ぼけまなこのフランス・パリから。

2021-01-01から1年間の記事一覧

「住む」と「生きる」は別のこと。(2)

(この記事は前回の記事の続きです) 仏日通訳のフローラン・ダバディさんが、動画についてTwitterでこう書いていた。 「私も子供の時にずっとデンベレ選手出身のパリ郊外でサッカーをしてきた。貧しい階級の子供たち(フランス系であろうが、アフリカ系であ…

「住む」と「生きる」は別のこと。(1)

結論から言えば、「人種差別ではない」という主張で彼らが擁護したかったのは、ふたりの選手でもフランスでもなく日本における自分のイメージなのだと思う。誰だって母国の家族や友達に、自分が外国で容姿や言語を笑われながら暮らしているなんて想像された…

ひろゆきさんの屁理屈。「差別」を認めない日本人の心理とは?

「でも、ひろゆきもあれは差別じゃなくて悪口だって言ってるよ?」前回の記事を載せてから日本の友達がくれたLINEメッセージに、ぼくはとても驚いた。メッセージにはヤフーニュースへのリンクが付いていて、確かにこういう記事が載っている。 ひろゆき氏…

「差別じゃない」という欺瞞。デンベレ動画と擁護記事について

プライベート動画の流出により、人種差別をしたとの批判にさらされているデンベレとグリーズマン両選手。パリ在住の作家・辻仁成さんがブログで彼らを擁護していると聞いて該当記事を読んでみた。 記事を要約してみよう。――日本での報道内容はイギリスのネッ…

4月6日はカルボナーラ記念日。「これはひどいね」ときみが言ったから (後編)

(前回の記事の続きです) 海外で提供されているヘンテコな日本食に対して、日本人は不寛容だという批判がある。よその国には日本のような「食の国粋主義」はないというのだ。それが嘘だということは、「お鍋ひとつで簡単カルボナーラ」がイタリアにもたらし…

4月6日はカルボナーラ記念日。「これはひどいね」ときみが言ったから(前編)

YOUTUBEの広告動画で面白いものに出くわした。乾燥パスタで有名なイタリアの食品会社が作った、かなり手の込んだショートフィルムだ。舞台は第二次世界大戦末期の荒廃したローマで、主人公は進駐米軍の一兵士。軍の士気向上のために美味しい食事を用意すると…

「また踊ろうぜ!」広がる第三波と抵抗歌

突然のロックダウンを皮切りに、フランスが新型コロナウイルスとの「戦争」に突入してから丸一年が経った。いまだ収束の兆しは見られず、今日ではパリを含む19の県で三度目のロックダウンが施行されている。今回のそれは外出に関する規制が大幅に緩和され…

世界にブーケを (下)

彼の主張するところでは、花屋がこんなに多いのは明日が母の日だからだそうだ。ママンに贈る花束を探して、街じゅうの人が市場にやってくる。ちょうど今朝のぼくたちみたいに。「いや、そんなはずはないよ。母の日って5月の終わりだもの。少なくともここフ…

世界にブーケを (上)

よく晴れた日曜日、朝市で賑わう広場の片隅で、ひとりの男がぼくを呼び止めた。その言葉は詩の始まりの一節のようだった。「花束をひとつ買ってくれませんか」男はストリートジャーナルの分厚い束を小脇に抱えている。『Journal Sans-abri(宿なし新聞)』と…