屋根裏(隔離生活)通信

ロックダウンの解除間もない、寝ぼけまなこのフランス・パリから。

2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

夢のあと

置き引き泥棒が、遊歩道の壁ぎわの暗がりに立って、川岸の縁に放置されたぼくの買い物袋を観察している。背中を向けて立つぼくが彼の存在を感知していることに、向こうはおそらく気付いていない。(この記事は直近のふたつの記事の続きです。よかったら、こ…

月下の決闘

ぼくは夏のあいだ広場で似顔絵屋をやっている。苛烈な日差しでお客が倒れてしまわないよう、大きな黄色いパラソルを立てている。そうだ、あれをタモ網に改造しよう。竿の長さは伸ばせば140cmにもなるはずだ。(この記事は前回のもの第二波セーヌを襲う …

第二波セーヌを襲う

これから報告することは深刻な問題だから、本来ならば深刻な調子で語られるべきなのかもしれない。けれども草取りにかこつけて不平等の話などしてしまったあとだから、今度はあまり憂鬱な内容にしたくないという気持ちがある。だからなるべく悲壮な感じが漂…

さくらんぼが実るころ (下)

パリ・コミューンという出来事について、ぼくは教科書通りの概要しか知らない。 パリ市民の蜂起によって生まれた世界で初めての労働者政権で、政教分離、教育の無償化、女性の政治参加など現代的な政策を掲げ、徹底的に平等な社会の実現を目指した。しかしほ…